今日3月11日で東日本大震災の発生から丸3年となったが、亡くなった人々への「追悼」をめぐり、ネット上で論争が巻き起こっている。
震災が発生した時刻の午後2時46分、Twitterでは「黙祷」または「黙祷なう」とツイートする光景が定番化している。芸能人の多くも「黙祷」ツイートをしている状況だ。一昨年、あるユーザーが「みんなで黙祷しましょう」と呼び掛けたことが発端となり、現在まで広く行われているようである。震災を忘れない気持ちは立派だが、ツイートで告知する行為が「偽善者のアピール」「自己満足ではないか」という意見もあり、今年も「黙祷」ツイートに対して以下のような厳しい批判がぶつけられている。
「Twitterで『黙祷』なんてバカッターのやること」
「黙祷するなら黙って黙祷しろよ」
「本当に黙祷してたら書き込みなんてできないよ」
「気持ちが大事なんだから、他人にアピールすることじゃないでしょ」
「バカな連中が震災をネタに遊んでるだけ」
国語辞書によると、黙祷とは「無言のまま心の中で祈ること」とされている。黙祷しながら書き込みをすることも不可能ではないが、本当に心から祈りを捧げるのであれば、その時くらいはTwitterをやめた方が良いのは確かだろう。
また、3.11は黙祷したことをアピールする人が大勢いるのに阪神大震災が起きた1月17日はスルーされる傾向があることに「偽善だ」との声も挙がっている。だが、その一方で「追悼の仕方は人それぞれ」「他人の黙祷にケチつける必要はない」というもっともな意見もあり、いまだ黙祷をめぐる論争は収まる気配がない。
そんな中、黙祷そのものに反対するという驚くべき運動も起きている。3.11当日、東京・築地で反戦反天皇制労働者ネットワークの呼び掛けによる「全国一斉黙祷反対!集会・デモ」が行われたのだ。
この運動にはリベラル系団体が多く参加しており、脱原発派が多いだけに震災の犠牲者を追悼する「黙祷」に反対する理由はないように思える。むしろ、積極的に黙祷し、左派は政府や東電を追及する気持ちを新たにするべきだ。だが、告知文によると「昨年は官公庁や学校、企業などで、天皇とともにする黙祷の強制が目立ちました」といい、東日本大震災追悼式典に出席した天皇陛下とともに国民が黙祷することを問題視しているようだ。
この運動に対して、ネット上で保守・リベラルの思想にかかわらずユーザーから以下のような驚きの声と大批判が巻き起こっている。
「黙祷反対って…信じられない」
「黙祷するしないに天皇なんて関係ないだろ」
「なぜ被害者を想って黙祷するのがいけないの」
「こいつら天皇制を批判するためなら何でも利用するんだな」
「みんな、自分でやりたいから黙祷してんだよ」
本来、黙祷は個人個人の気持ちの問題。それでも論争や反対運動が起きてしまうのは、震災が人々の記憶に生々しく焼き付いている証拠ともいえるだろう。(佐藤勇馬)