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「ブログ炎上死」小泉県議を追い込んだのはテレビか、ネットか?

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6月25日早朝、岩手県の小泉光男県議(56) が自宅近くの大志田ダム湖岸で遺体となって発見された。地元警察によると「自殺の可能性が高い」とみられており、報道では小泉県議のブログの炎上騒動との関連が指摘されている。ネットでの集団リンチが人を自殺にまで追い込んだとの見方がある一方で、「テレビ等の過剰な報道が原因だ」という声も出ており、さながらネットと大手メディアの“責任のなすりつけ合い”の様相を呈している。

小泉県議は盛岡市の県立病院を受診した際、待合室で「241番の方」と番号で呼ばれたことに立腹し、5日に更新したブログで「刑務所に来たんじゃない」「会計をすっぽかして帰ったものの、まだ腹の虫が収まりません」などと記述。これに対して「議員にふさわしくない」「考えがおかしい」などという意見が殺到し、一部ネットメディアなども追随して小泉県議批判が巻き起こった。県議会事務局にも抗議や議員辞職を求めるメールや電話が700件以上寄せられ、騒動の拡大を受けて小泉県議はブログを閉鎖。17日の会見で謝罪したが、県議を辞職する考えは否定していた。

ブログ炎上後、この騒動は大手メディアでも取り上げられた。11日に放送されたフジテレビ系の情報番組「とくダネ!」では、リポーターが小泉県議の自宅を直撃。小泉県議はまともに取材に応じず、テレビカメラを意識してか窓に段ボールを張って自宅に籠城した。取材班はこれで終わりにせず、ブログの問題個所をプリントアウトして地元の議員に読ませるなどの行動もとっていた。小泉県議の言動は批判されてしかるべき部分があったが、ここまで大ごとにするほどの話だったのかは疑問だ。

テレビ報道によって一部のネットユーザーはさらに勢い付いていたが、小泉県議の死が報じられると「ブログ炎上くらいで自殺することないのに」「小泉議員を殺したのはメディアだ」「ネットはブログを批判しただけで自殺にまで追い込んだのはテレビ」などといった論調が目立つようになった。一方の大手メディア側は、ブログの炎上が死と関連しているのではないかという推測を報じている。

現時点では、小泉県議の死が自殺なのか、ネット炎上やメディアスクラムと因果関係があるのかは、はっきりとは断定できない。だが、仮にそれらが死と関連があるとして、その責任はネットとメディアのどちらか一方だけに求められるものなのだろうか。

近年はネットの力が強まり、現実世界にも大きな影響を及ぼすようになった。テレビや新聞がネット発の騒動を取り上げる構図も定番化している。ネットと既存の大手メディアは別々の存在ではなく、相互に影響を与える関係になっているのだ。今回の騒動も、どちらか一方の力だけではここまで拡大しなかっただろう。

これだけ影響力の増したネットは、すでに立派な「メディア」だ。一般人が自由に書き込めるため意識が薄くなりがちだが、既存メディアと同じく他人を破滅させるだけの力が十分にある。その影響力には必ず「責任」が伴う。それは悪者を決める責任の所在という意味ではなく、自分の言葉が他人の人生を狂わせるかもしれないという意識のことだ。この点においては、プロの記者だろうと一般人だろうと匿名だろうと区別はない。

マスコミの無責任ぶりを批判しながら同じ轍を踏むという結果にならないためにも、ネットユーザーはこの責任と向き合わなければいけないのではないだろうか。(佐藤勇馬)


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