劣悪な労働環境で長時間労働などを強いるブラック企業の“頂点”を決める「ブラック企業大賞 2013」が昨年に続いて開催され、11日の授賞式で「ワタミフードサービス株式会社」が大賞と一般投票賞に選出された。一般投票は同賞の公式サイトなどで実施され、投票総数約3万票のうち72%を占める2万1921票がワタミに投じられるという断トツぶりだった。
ワタミは自民党の渡邉美樹参院議員(53)が創業した格安居酒屋チェーン「和民」を中心にした外食大手だが、入社2カ月の女性社員が過労の末に精神疾患を発症して自殺するなどの問題が発生。また、渡邉氏が「365日24時間死ぬまで働け」などと社員に呼び掛ける内部文書も流出しており、その企業体質が問題視されている。
今回の受賞で同社をはじめとしたブラック企業に対する批判がさらに強まる一方、タレントのマツコ・デラックス(40)の発言を発端に「ブラック企業という言葉が一人歩きしている」「批判の仕方に問題があるのでは」という意見も噴出した。世間やマスコミの“ブラック企業叩き”とも言える状況に疑問を呈する声も上がり始めている。
TOKYO MXの情報番組『5時に夢中!』にレギュラー出演しているマツコは、8月12日の番組でブラック企業大賞が取り上げられた際、「企業の体質だけでは語れない」とコメント。マツコは「物価が安くなり続けていて、要はそれだけ企業の儲けも減るわけよね。でも、ある程度の雇用を確保しなければいけないっていうのも企業の責任としてあって」と現在の社会状況を分析し、「この悪循環の中で、じゃあ好待遇で大人数を雇うのは不可能じゃない?」と指摘した。
マツコは同賞について「ここだけ抽出して語るのは、ちょっとナンセンスだよね」とも語っており、ブラック企業問題には政府の政策や景気などの大きな背景があり、企業や経営者を単純な「悪」としてヤリ玉に挙げる構図に疑問を呈している。
この意見に対し、ネット上では以下のような賛否両論が巻き起こった。
「マツコに同意。狭い視野で企業だけ叩いても解決しない」
「ブラック企業の安価なサービスに食いついて自分の首を絞めてるのは大衆だからなあ」
「最近は少し仕事が厳しいだけで『ブラック企業』って言う奴もいるから言葉が一人歩きしてる感じはする」
「マツコはズレてる。待遇どうこうじゃなく、過労死や違法な長時間労働、労働者の使い捨てが問題なんだよ」
現在はワタミやユニクロなどの大手企業が批判の的になっているが、今の日本はどの企業も多かれ少なかれブラックな面を持っているのが実情だろう。特に中小企業などは、ブラックな労働環境がなければ会社が成り立たない部分もある。それを本当の意味で改善していくためにはどうするべきなのか。賛否両論あるが、マツコの視点は勧善懲悪のように単純化されがちなブラック企業批判に一石を投じたといえるだろう。(佐藤勇馬)
画像引用元:ブラック企業大賞 公式サイト
http://blackcorpaward.blogspot.jp/